【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
『ちょっと、蓮菜!? 全然帰ってこないから心配したのよ!?』
あ、お母さんだ。
『ごめんなさい。でも私ね、新しいお友達できた……』
そこまで言った瞬間
──パシン……
え……
『どうしてすぐ帰ってこれないの!? もう、早く帰るわよ!』
『うわぁ……んっ…いたい……』
頬を叩かれたことで、痛みでひりひりする。
その時私は、男の子の事を忘れてお母さんに引っ張られた手でおばさん家まで帰った。
これは、私の初恋だっただろう。
初めてあんなふうに友達と遊べた。
たったあんなことだけど、あの男の子が好きになった。
恋愛感情で。
『私、はすなっていうの。きみは?』
遊んでいる時に、聞いたことがあった。
でも、男の子の顔が見えなく、声も聞こえない。
口だけが動くだけで、どんどん男の子のが消えていく。
どこいくの……?
名前は?
名前は、なんて言うの……?
さよならなんてやだよ。
もっと遊びたい。
ねぇ……消えないで。