【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
「西垣くん!?」
西垣くんは、
「俺、今気分悪いから下で待ってる。1人じゃつまんねーからこいつ連れて行く」
そう言って、私の手を引っ張った。
「ちょ、蓮!? 待ってよ」
花梨さんは慌てて、降りようとしたけれど、レバーが下がって降りれなくなっていた。
西垣くんは黙ったまま、外まで連れて行ってくれた。
もしかして、助けてくれた?
「あの、西垣くん……ありがと」
「…………」
お礼を言ったものの、返事がこない。
あ、そうか……。
学校で、私ずっと無視されてたんだ。
私が変なこと言ったから。
「あの時は、ごめんなさい」
「……お前、イジメられてただろ」
返事してくれたと思ったら、イジメの話をしてきた。
「い、いきなりどうしたの?」
西垣くんには、イジメられてたなんて知られるのはイヤだった。
知られたら、汚れてる汚い奴だって思うでしょ?
「ふーん。そう。まぁ、女たちがどうしても謝っていてほしいって言うから伝えたんだけど」
女たちって、私の事イジメてた人なのかな。
「……うん。わかった」
「へー。わかったんだ?」
「え?」
「そいつらに、なにしたか聞いたんだけど」
やばい。バレちゃう。
「………ごめん。誰かわかんないまま、返事しちゃったや」
とっさに嘘をついた。
「俺見たんだけどなぁ」
「え! 見たの!?」
「見たよ?」
ウソ……。
見られてたなんて。
「ごめん。私汚いでしょ……?」
「なにが?」
え?
西垣くんから見たって言ったのに、知らないフリするの?
「だって今……」
「俺見たとは言ったけど、なにを見たかなんて言ってないよ?」
ニヤッとする西垣くんに、私は慌てた。
「違う! イジメられてなんて」
「やっぱ、イジメられてたんだ?」
ねぇ、
西垣くんは、私の事別に好きじゃないんだよね……?
西垣くんのたまに笑う笑顔が、私の頬を緩ます。
私どうしても伝えたいよ。
今すぐに、この想いを……。
「西垣くん……! あのね……っ」
声を出したと同時に、
「蓮!」
花梨さんが走ってこっちまできた。
そして、柊くんも。