【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
協力したところで、なにも変わらない。
「あれ聞いてたんだ?」
「……聞いてないよ」
それは、携帯を鞄の中から落として、逃げた日。
その後、優くんに……。
ぶるっと体が震えた。
「……あ、ごめん。でもあの後、蓮はすぐ蓮菜ちゃんだと気付いて、走っていったんだよ」
「……どうして?」
「わからない。イヤな予感でもしたんじゃない? まぁ、そのおかげでなんとか無事だったけど」
いつもそうだ。
西垣くんは、気付いたら私のことをわかってくれてる。
好きじゃないなら、優しくしないでよ……。
「……でも、私諦めるから」
本当に諦められるのかわからない。
だけど、諦めなきゃいけない。
「なんで? 好きなら、諦めなくていいと思うよ」
「でも……」
きっと私は迷惑な存在。
「蓮菜ちゃんにいい事してあげよっか」
「いい事?」
「そう。というわけで、レッツゴー」
柊くんにいきなり腕を引っ張られ、そのまま走った。
さっきから私、腕引っ張られすぎ。
腕とれちゃうよっ!
そして、柊くんが突然立ち止まった。
「うあっぷ」
私は、変な声を出しながら、柊の背中に突撃してしまった。