【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
目を開けると、西垣くんの顔が数cmくらいの近さだった。
「ごめ……」
そして、腰の違和感は西垣くんが転けそうになった私を支えてくれた。
西垣くんに触れられて、ドキドキした。
ていうか、2人っきり!?
「お前さ、いつまでこの体勢でいるつもり? さすがにキツイんだけど」
「へ?」
私はずっと固まったままで、理解した頃ぱっと離れた。
「早く座れよ」
「う、うん」
それにしても
「「…………」」
気まずい。
「に、西垣くんはどうして私のとこにきたの?」
「……柊に騙された」
「騙された!?」
「いちいちうっせ」
「あ、ごめん」
「お前がアイス食べたくて、服にこぼしたって……緊急事態だって柊が来たんだよ」
え?
いやいや、おかしいでしょ。
「どこが緊急事態なの? そもそも、アイスさえ食べてないし、こぼしてもない」
それを騙されたって言う西垣くんもどうかと思うんだけど。
「ウソだよ。バーカ」
「なっ!? じゃあ、ほんとはなんだったの?」
「俺に、どうしても話があるって聞いた」
はい!?
私そんなのないよ
柊くんはなにを考えてるの。
あれ、そういえば
「……花梨さんは?」
「花梨なら、柊といるだろ」
「彼女……さん、なのにいいの?」
そう言うと、西垣くんは一瞬、悲しいような切ない顔をした。