【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
「俺なんかが、幸せなんてなっちゃだめなんだよ」
「だめじゃないよ! だって、西垣くんの大切だった悠真さんは、西垣くんの笑顔を奪ってまで死んだと思う?」
「………」
西垣くんは、なにも言わなくなった。
「悠真さんはきっと、西垣くんにこれからも笑っていてほしくて、西垣くんの事大切だからこそかばったんだよ」
言い終わっとたん、私はすっかり西垣くんを抱きしめていたことを忘れていた。
私は、あっ!と離れようとすると西垣くんが私の背中に手をまわして、抱きしめた。
え?
どうなってるの!?
「やっぱりお前は……昔と変わんねぇな」
「え?」
今昔って言った?
「お前は、覚えてないかも知れない。幼稚園の頃の事」
幼稚園……?
あっ!
「私、夢で昔の事思い出したの! 男の子と遊んだ事」
「その男の子の名前知ってるか?」
それがなかなか思い出せない。
「忘れちゃって……」
「俺さ、昔から好きな女の子がいたんだ」
胸がチクリと傷んだ。
私を気にせず、西垣くんは話を進めた。
「その女の子とは公園で出会った。俺の昔から好きな公園で、でもボロっぽいから好きで来る奴なんていなかった」
「………」
私はその女の子にヤキモチを妬きながらも、黙って話を聞いた。