【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
「お、おい! 西垣!」
目を大きくしてた先生が呼んでも振り返らず、教室を出て行く。
それにしても癖なのか、登校して来た時と同じ、片手をズボンのポケット。
もう片方は鞄を持ち、肩に乗せる。
きっと、無意識なんだろうけど、女子はそんなところまでキュンとするのだろう……。
そして柊くんまで、なぜか驚いていて、
「れんたんに、なにが起きたんだ……?」
と呟いていた。
れんたんくんがいきなりあんな行動をするのは確かに驚いた。
だけど私には、それ程みんなが驚く理由がわからなかった。
初めて聞いた声……。
それは、低くて綺麗な声だった──。