【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
──ガチャ
「ちょっと、アンタ! なにしてるの!?」
え?
観覧車のドアが開いたと同時に、花梨さんがいつもと違う話し方で私を外へと突き飛ばした。
「いった……」
「人の彼氏なに取ろうとしてるの!? このウソつき!」
花梨さん……?
「花梨!」
「花梨やめろ」
柊くんと、西垣くんが花梨さんを止めた。
「なによ。2人とも。それに蓮までどうして……っ」
「ごめん。花梨。……別れたい」
「なにそれ。昔の女の子がこの子だから別れたいってこと?」
花梨さんは、私だということを知っていたんだ。
倒れこんでいる私を、柊くんが「立てる?」と手を貸してくれた。
「花梨。俺はお前を幼なじみとしか見れない。俺、悠真に頼まれて付き合っていた。けど、それは違うって気付いたんだ」
「意味わかんない。もう勝手にすれば? 私からフッてやるわよ。もう帰る」
スタスタと出口の方へと早歩きで進んでいく花梨さん。