【完】私の好きなあいつは無口で俺様な二重人格くん。
「そ、そうなんだ」
やばい。
心臓がバクバクうるさい。
「お前俺が初めて好きになった奴なんだ?」
からかうように耳元で話す西垣くん。
「西垣くん、だって……」
私だってからかうつもりで言ったのに、また耳元で
『……そうだよ。初めて好きになったのはお前』
なんて言うから、目なんて合わせられない。
というより、上を見ても身長が高すぎて、首が痛くなる。
「西垣くんのバカ!! 行きたいとこってウソなの!?」
恥ずかしさを誤魔化すために、さっき柊くんに言っていたことを思い出して聞いてみた。
「あぁ。ほんとだけど、行くか?」
「行く」
西垣くんが行きたいところ凄く気になるもん。
そう言うと、西垣くんが私から離れた。
寂しいなんて思ってる自分がほんとに恥ずかしい。
それに接したのか、西垣くんが私に手を差し出してくれた。