なんて俺様!
嫌な奴
私 大束 結実(おおつか ゆうみ)にはコンプレックスがある
それは、目付きの悪さ
ご飯を食べてる時でさえ
「不味かった?」
なんて聞かれるし
街中で人とぶつかれば
「ごめんなさい!!」
と、一瞬で謝られてしまうほど
更に中学生の時には【番長】なんてアダ名が付けられて、ヤンキーに一目置かれていた
喧嘩なんて一度もしたことがないのにも関わらず、だ
更に更に中学3年になるとスポーツに力を入れている高校から推薦があったり
女子プロボクサーからのスカウトがあったり
大好きな猫に手を出しても威嚇されたり
満員電車の中で私の周りにだけ人が寄らなかったり
こんな顔で良いことなんて何一つ無い
私はいつだってこのコンプレックスに悩まされて生きている
きっと、今日から始まる高校生活だって最悪に違いない
目に見えているだけに溜め息は出るばかり
あー…もしも私の顔がモデルみたいに可愛かったら…
いや、そうじゃない
普通が良いんだ
普通が一番だ
「…根本ゴゥラアアアアア!!!」
とか思ってたら、校門を潜った私の目の前から数人の厳つい男がバットやら鎖やらを持って走ってくるではないか
高校生活1日目、いきなりこれは普通じゃない
関わってはいけないと直ぐに判断した私は目を反らして歩き続ける
そんな中、追い掛けられる様に先頭を走る男は向きを変え
追っ手と思われる男達に嘲笑いながら中指を1本立たせた
「え?プギーっつったか?
はは、お前さては新種の豚だろ」
人を小馬鹿にしたその言葉を並べた男は余裕そうにズボンのポケットに手を突っ込んで、軽快なステップで後ろ向きに走るが
「その内俺が出汁取って豚汁作ってや、る……っぬあ!!?」
物の見事に私にぶつかり、私の体に覆い被さる様に転倒した
…最悪だ
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