最低王子と恋の渦
実は
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「…となるわけで…」
古典の先生の子守唄のような声が微かに聞こえる。
私は寝ないように重い瞬きを何度も繰り返した。
が、しかしそれでも寝てしまうのだ。
「田中さん」
「…んぁ」
隣から透き通るような声が小さく聞こえ、私はハッと目覚めて隣を見る。
隣では三鷹くんが肘をついて私をガン見していた。
「すっごくブサイクな顔してたよ」
ニッコリと笑顔を向けながらそう言った三鷹くん。
私はガーンとショックを受ける。
…さ、最悪だ。
よりによって三鷹くんに眠気と戦う醜い姿を見られるなんて。
「例えるならそうだね、死にかけのカマキリみたい」
「分かりにくい上に虫ってひど過ぎるよ」
「的確な比喩だと思うんだけど」
「それがほんとなら私死んでやる」
やっぱり三鷹くんが隣だとこうなる。
隙あらば私を貶してるなこの人。