最低王子と恋の渦






――「へぇ、映画とかカップルじゃん」





放課後、今日三鷹くんと映画に行く事を菜々に伝えるとそんな返答があった。


菜々は今日もバイトらしい。




「いやいやカップルじゃないから」


「早く付き合っちゃえよー」


「やめてその古いノリ」




このこのーっと肘で私を押してくる菜々を止める。


まあ放課後に映画なんてどこの仲良しだよっていう。

駅近くに映画館あるから簡単に行けちゃうんですよね。




「川平くんがまた嫉妬するね」


「え、友也が?」


「うん。当たり前でしょ? 好きな人が他の男子と仲良く映画なんか行かれたら」


「…そうか…」


「まあ付き合ってないんだし美乃の思うようにすればいいのよ。ていうかそもそも川平くんが美乃を手放しにし過ぎなんだよ」




そうポンと私の肩に手を置く菜々。



…友也悲しむかな。

そりゃ悲しむか…。


ごめんね友也。




「んで、三鷹くんは?」




菜々が教室内をキョロキョロと見渡す。



私も三鷹くんの席の方を振り返るが、そこに三鷹くんの姿はなかった。



あれ?

どこ行った?




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