最低王子と恋の渦
「三鷹くんっ」
「何? 田中さん」
「西垣さんに何か誘われてたならそっち優先していいよ…!? 映画なんていつでも行けるし!」
「……は?」
私の言葉に三鷹くんは眉間にシワを寄せた。
あれ……間違ってた?
「確かに誘われたけど田中さんとの約束の方が先だったからそっち優先するよ」
三鷹くんは少し語気を強めて言ってきた。
あ、やっぱり誘われてたんだ…。
いやでもやっぱり申し訳ないよ…。
「…でも、」
「田中さんは余計な心配しなくていい」
強く言い放たれた言葉に私は言葉を詰まらせる。
ギロリと三鷹くんに睨まれ、私はもう何も言えなかった。
…もしかして、私が気遣わなくても二人には既に信頼みたいなものが出来てたのかな…。
だったら…ほんとに私おせっかいだ。
ごめんなさい、三鷹くんと西垣さん…。
「…あ、えと…じゃあ比奈子は帰るね…? また明日っ」
「うん、また明日」
パタパタと走り去って行く西垣さん。
気まずい空気にしちゃって、ほんとに申し訳なかったな…。
私はハァと大きく溜息をつく。