最低王子と恋の渦









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なんだかんだ映画館に着いた私達はチケットを買ってスクリーンの方へ移動した。


既にちらほらと人が座っている。

平日でも結構いるもんなんだなぁ。




「田中さん」


「…はい?」




座席に座り、しばらく暇だななんて考えていた矢先。

三鷹くんはスクリーンの方をじっと見つめながら小声で私に言った。





「女子達に詰め寄られるのは慣れてるよね」





えっ。


それは前の体育館裏に呼び出された時みたいな事…?



いや慣れてないけど。

慣れたくもないけど。




「俺がちゃんと守るって言ったら安心する?」


「えっ!?」




いやいやいや。


さっきからなんの話をしてんの三鷹くんは!



安心するって何!?




「話の意図が見えないっ」


「安心するかしないかだけ答えてくれればいいんだよ」


「えぇー……」




なんで説明してくれないの…。



私はぐぬぬと唸りつつ、考えてみた。



…前も三鷹くんが助けてくれたんだよね。


まあ詰め寄られてる原因が三鷹くんなわけだけど。




「あ、安心する…かな」


「そう」




チラリと三鷹くんを見上げると、


三鷹くんはニッコリと微笑んでいた。



…ほ、ほんとに何事…?





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