最低王子と恋の渦








「実はね、俺西垣さんに放課後一緒に帰ろうって誘われることを察して田中さん誘ったんだ」





「…へ?」




三鷹くんはまだスクリーンを見続けたままである。




「何か断る理由を作りたくて田中さんを映画に誘ったんだ。ごめんね」


「いや、え待って……どういうこと?」




なんだか…

それじゃあまるで……西垣さんを避けてるような気がするんだけど。


な、なんで?




「西垣さんに呼び出された日、西垣さんは俺に自分の事を話してくれたんだ。まあその内容はくだらないんだけど、その話のおかげで西垣さんをよく知れたんだよね」


「な、何言われたの…?」




恐る恐る尋ねる私をチラリと一瞥した三鷹くんは、いつもと変わらない様子で続けた。




「俺と仲良くなりたいってさ。それと、自分がキャラ作ってることも暴露してくれた」




……なっ、


西垣さんがキャラ作ってる…ですって!?




そんな馬鹿な!


だってあの子は大人しくてふわふわしてて天使みたいで清楚で……。



いやでも、こんな子が天然でいるわけないってそりゃ疑う人もいるよね…。

現に陰口叩いてた人達がそうだし。



…ほんとに西垣さんキャラ作ってるのかな…?




「だからある意味告白っちゃ告白かな」


「いやそこは割とどうでもいいけど、それよりも私にその話しちゃってもいいの…?」


「一応言うなって言われてたよ。言ったら田中さんの変な噂流して女子の恨み買わせるって脅されたし」


「だ、駄目じゃん!! それ私リンチされるやつじゃん!」




なんてことしてくれたの三鷹くん。


私の命が失くなるよ。




ていうか、




「三鷹くんって…西垣さんのこと好きじゃなかったの…?」


「は? 誰がそんな事言ったの。そんなわけないよ」




ま、


まじかー…。




じゃあ何もかも私の勘違いだったってことか…。


トホホだわほんと。



< 109 / 347 >

この作品をシェア

pagetop