最低王子と恋の渦
――「…理由?」
別の休み時間、私は隣に座る三鷹くんにさっきのことを聞いてみた。
片肘を付いて私の方に顔を向ける三鷹くん。
少し考えてからチラッと私の目を見た。
「…田中さんが余計な心配しないように」
「……え?」
な、何それ?
余計な心配…?
「まあなんとなく、言っておいた方がいい気がしたんだ。別にそんな深い理由はないよ」
「は、はぁ…」
つまり気まぐれと言いますか、隠すのもめんどうだったと言いますか。
そんなところかな。
…うん、三鷹くんの考えてることなんて理解出来ないのは百も承知だった。
「今後、ないとは思うけどもしかしたら女子にリンチされるかもしれないから気を付けてね」
「…え、守ってくれるんじゃなかったの?」
「考えてみれば田中さんを守ったところで俺にメリットってない気がしてさ」
「クズ中のクズですかあなたは!」
「冗談だってば」
フッと吹き出す三鷹くんは眉を下げて笑う。
どうだかっ。
自分からバラしておいてそれはないよ!
フンと三鷹くんから顔を逸らすと、三鷹くんは「あー」と声を上げた。
「なんかまた映画観たくなってきたなー」
「一人で観てればっ」
ほんとに、三鷹くんの考えてることは意味不明だ。
私はこれからも振り回されるんだろうか。