最低王子と恋の渦
そ、そうなんだ。
三鷹くんって父子家庭なんだ…。
「全然知らなかった…」
「当たり前じゃん言ってなかったんだから」
そりゃそうだよね。
三鷹くんはメロンパンの袋を開けてかじりついた。
「頑張れば親父がお弁当作れるんだけど、別にそこまで無理してくれなくていいし、パン好きだから気にしてないし」
…大変なんだなぁ。
なんか、ちゃんとお弁当美味しく頂こう。
有り難みを噛み締めよう。
「美乃、三鷹くんにお弁当作ってあげれば?」
…!?
また私はご飯を吐き出しそうになる。
驚いて菜々を見ると、彼女はニヤニヤとしながら私を見ていた。
「可哀想な三鷹くんの為に一肌脱ごうよ美乃!」
「ま、待って!? なんでそうなるの!?」
慌てて三鷹くんの方を見てみると、彼は表情なく真顔だった。