最低王子と恋の渦
*ウィンターローズ
恋人たちの
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季節は過ぎ去り、あっという間にもうすぐ12月。
12月上旬には期末テストがあり、それが終わると私達二年生は晴れて冬休みだ。
つまり、今現在地獄のテスト週間なのであります。
この間中間テストが終わったばかりなのにもう期末テストって早過ぎるよ…。
範囲は少ないけど大事なテストなことに変わりはない。
…もうすぐ冬休みがきてクリスマスがあって年越しがあってって考えると余計にテスト勉強なんて手に付かないのだ。
まあクリスマスも年越しも割とどうでもいいんだけどね。
そして3時間目の休み時間。
私はお茶を忘れた為、自動販売機までジュースを買いに来ていた。
…ご飯には合わないけど、カフェオレ飲みたいなぁ。
そう思いつつ、私はゴソゴソとお財布から小銭を取り出した。
と、
人が後ろに並んでいるのが目に入り、私は何気なくその人を振り返った。
「……あ…」
思わず声を出してしまった私は、「しまった」と口を押さえる。
後ろに並んでいた生徒はいじっていた携帯から目を離しこちらを見上げた。
そして口を押さえる私を見て、不思議そうに「え?」と首を傾げる。
「あ、いや……えと、和久井くんだよね?」
「…ん?そうだけど…」
和久井直哉。
クラスは5組の芸系。
以前テスト終わりにファミレスで菜々と和久井くんのお兄さんにナンパされそうになった。
そう、あの和久井くん。
「…前和久井くんのお兄さんにナンパされかけたんだよね」
「えっ!?うわ、ごめんっ!まじ兄貴クソだわほんとごめんっ」
和久井くんは慌てて私に謝罪し、申し訳なさそうな顔をする。
…まあ和久井くんにそれを言ったところで別にどうということはないんだけど。
「あいつほんと軽くてさぁ…。うちの学校の子に手出すなよなぁ…」
「あ、あの別にいいよっ。気にしてないし!ごめんわざわざ言っちゃって」
まさかこんなに気にするとは…。
なんか私が申し訳ないよ…。
目の前でしゅーんと眉をハの字に下げる和久井くんはなんだか小動物のようだった。
「いや…えと、田中さん?は謝らないでよ!俺の兄貴が悪いんだし」
「そ、そう…ですか…」
そうですか、ってどんな返しだ。
ほんとにいいんだけどなぁ…。
和久井くんは責任感が強いのかな?