最低王子と恋の渦
24…?
って、クリスマスイヴ…ですよね?
な、なんでまた…。
「え…?」
「…何かお詫びしたいし、俺の奢りでどっか遊びに行かない?」
「…え!?」
「まあ、ぶっちゃけ俺が24日予定なくて恋人もいないからちょうどいいやって思ってさ…。ごめん、自分勝手だよな」
「…え、ていうか和久井くんの中で私は恋人いない認識なの?」
「…田中さんって三鷹と噂されてたけど、実際付き合ってなかったんだろ?だからなんとなくいないのかーって」
「は、はぁ」
まあそれはそれでその噂が間違いだったってことが分かってくれればいいんだけどさ。
…いや待て待て。
「で、でもいくらお詫びだからってそこまでしてもらわなくてもいいよ?ほんとに気にしてないしっ」
「お、俺が気になるんだよっ!だからお願いっ、何か奢らさせてくれ!」
「奢るってそんな…」
「24日空いてたらよろしく!じゃあもう授業始まるし、また後で!」
「あ、和久井くんっ…」
私が呼び止めるのも遅く、彼はスタコラと立ち去ってしまった。
…ジュース買ってないよ和久井くん…。
と思いつつ、ほんとにもう授業が始まりそうだったので私も急いで教室へ向かった。