最低王子と恋の渦
――お昼休み。
「…てか、なんで誘われてるの美乃だけなの?私は?菜々さんは?」
前の席を借りて座っている菜々はお弁当片手に私に詰め寄ってきた。
わ、私に聞かれても…。
「まあどうせ私バイトだから無理だけど」
「菜々バイトばっかだね」
「社会に貢献してると言って欲しい」
「澤村さんみたいな馬鹿が社会に貢献してるとは到底思えないけどね」
そう横から口を挟んできたのは三鷹くんだ。
彼はクロワッサンをかじりながらこちらに顔を向けている。
「なんだとー?この神様に贔屓されたクソ王子め」
「なにそれ」
三鷹くんと菜々のそんなやり取りを眺めながら、私は先程買ったカフェオレを取り出して飲んだ。
と、そこで三鷹くんが私を見て顔をしかめる。
「…お弁当にカフェオレって合うの?」
「…合わないです」
「あ、じゃあ俺のお茶あげるからそれちょうだい?」
…はい?
「いやいやいやそれはちょっと!!」
「え?なんで」
「いやぁだって…」
「…もしかして間接キスとか気にしてる?俺全くそれの良さが分からないんだけど」
「あなたには一生分からなくていいです」
ハァと大きく溜息をつくと、三鷹くんは顔をしかめながら首を小さく傾げた。
三鷹くんには分からないだろうね。
可愛い子の告白を数え切れないくらい断ってきてるし。
…ていうかもう既に私のカフェオレ飲んでるし。