最低王子と恋の渦
前に菜々がそんなことを言っていたような。
なんてくだらないことを考えつつ、私は友也の焦りっぷりを眺める。
「…じゃあ今年のクリスマスは美乃と祝えないなぁ」
「……えっ?」
そんな友也の言葉に私はきょとんとする。
私の様子を見た友也も「…え?」と首を傾げた。
「なんでよ、毎年12月25日は家族ぐるみで皆で祝ってるじゃん。24日はあれだけど、私25日は皆で祝うつもりでいたよ?」
そう、私達田中家と川平家は毎年クリスマスは家族ぐるみでクリスマスパーティーをしているのだ。
それは去年までずっと欠かさずしてきた恒例行事で、私の密かな楽しみでもある。
だから…私はもし和久井くんや三鷹くんに25日誘われてたらもちろん断っていた。
私の言葉に、友也は最初きょとんとする。
「…ほ、ほんとか…?」
「ほんとだって。だから友也も予定入れないでよ」
「……当たり前だろぉ!お、俺…美乃がそんな風に思ってくれてるなんて思わなくてさぁ…!」
なぜか泣きそうな声を上げる友也に私は首を傾げた。
そ、そんなに嬉しい…?
「…ハァ…やっぱ俺美乃のこと好きだなぁ」
…!?
なっ、なななっ…
何を言ってるのこの馬鹿は!!
「…あ、美乃顔赤いっ。照れたのか?」
「……うぬぬ…」
そんな私の反応を見ては、友也は嬉しそうに笑った。
…恥ずかしい。
友也も私自身も恥ずかしいわ…。
素直過ぎるんだよ友也め。