最低王子と恋の渦







――「姉ちゃん姉ちゃん、珠妃ちゃんを落とすにはギャップが良いの?」








「…はい?」











その日の夜。



部屋でゴロゴロしていると、突然優太が私の部屋に入ってきた。



かと思えばそんな意味不明な内容。











「…それ、〝珠妃ちゃんを〟じゃなくて〝女の子を〟じゃないの…?」




「うんまあ。でも俺珠妃ちゃんしか落としたいと思わないし」











溺愛じゃん。





ほんとどんだけ優太は珠妃ちゃんのこと好きなの。











「…いや、優太は別に意識しなくてもギャップあるよ」




「…そうなの?」




「そんなぼーっとしてるのにサッカーやってるんだもん。モテるでしょ?」




「………………分かんないけど、珠妃ちゃんは俺がモテてるって言ってた」











…やっぱり。



てかどこまでも珠妃ちゃんだね。




こいつの頭の中珠妃ちゃんしかいないのかも。














「…じゃあ俺珠妃ちゃん落とせるの?」











無表情で私をじっと見つめる優太。



…その落とすって言い方やめなさい。













「…さぁ、それは優太次第だよ。珠妃ちゃんがその優太のギャップにときめかないなら意味ないし」




「…意味ない…」




「それにもし今珠妃ちゃんに他に好きな人いたら恋愛対象にすら見てくれないかもだしね」




「……珠妃ちゃん好きな人いるの?」




「いや知らないけどさっ」











ズイっと詰め寄ってきた優太を遠ざけながら私は言う。




…まあそれはない気がするけど。


珠妃ちゃんもなんだかんだ優太には心許してる感じだし。





……てか私も友也を恋愛対象として見てなかったし、人のこと言えないわ…。





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