最低王子と恋の渦





「は、はいっ」







どもりながらそう言うと、電話の向こうからはいつもの落ち着いた三鷹くんの声が聞こえてくる。








『こんばんは田中さん』




「…こ、こんばんは」




『もう寝るとこだった?』




「えっと…まあ…。ていうかなんでこんな時間に…」




『田中さん今何時?』









えっ。



何ほんと突然…。




私は無視された質問の答えは置いておき、とりあえず三鷹くんの問いに答えることにする。








「えっと…もう12時。11時58分」




『…田中さん、窓開けてみて』




「え?」









きょとんとした後、私はまさかと思い急いでカーテンを開いた。











『やあ』




「ええっ!?」










優雅な声が耳元から聞こえ、私の視界の先にはイケメンがこちらを見上げていた。



三鷹くんがいる。



向かいの少し奥にある街灯で立っている人物は紛れもない三鷹くんだ。






…いまいち状況についていけないんだけど。










「待って、なんでそこにいるの!?」




『コンビニ行っててさ、その帰りに田中さん家寄って行こっかなって』




「えぇ…?普通そんな風になる…?」




『あ、田中さん』




「…な、なんですか」




『俺実は12月25日が誕生日なんだよね』


















え…?



という声も出ず、私はハッと携帯で時間を確認した。





するとちょうど時計は12時へと切り替わったところだった。






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