最低王子と恋の渦
慌てて三鷹くんの方に目を向ける。
携帯を耳元に当ててこちらを見つめている三鷹くんが変わらずそこにいた。
〝俺、実は明日…〟
「…お、おめでとう。三鷹くん、誕生日おめでとうっ」
窓に手を当て携帯をギュッと握りながら私は三鷹くんへその言葉を贈った。
まさか今日が誕生日だったなんて…。
それなら昨日、ちゃんと言ってくれれば何かプレゼントくらい渡してたのに。
…もしかして、あのクリスマスツリーの時に言いかけてたのって…。
「…ていうか三鷹くん、寒くない?」
『大丈夫。もう帰るし』
「えっ」
『…え?』
私が咄嗟に発した言葉に、三鷹くんは小さく驚いたように返してきた。
…せっかく家まで来てくれたのに…もう帰しちゃうなんて、
なんか…
もったいない、気がする。
…もったいないって何がだろ。