最低王子と恋の渦
ていうかそもそも、なんで三鷹くんが私に電話を?
コンビニのついでに私の家に寄って私に電話かけて…誕生日知らせて…私が…祝って…。
……〝あの〟三鷹くんが…私に…?
もしかして…私に祝ってもらいたくて…?
いや、それはないっ。
そんな自惚れたこと思うだけ後で恥ずかしい目に合うんだ。
三鷹くんがこんな私にそんな風に思うなんて実感湧かないし、それにありえなさすぎる。
……私はよく勘違いしてるらしいし、これこそ自惚れ過ぎてる。
自意識過剰にならないようにしてる…のに、
『何?』
「いや、えーっと…私下りるから!そっち行くから!待っててっ?」
『…え』
なぜだかどうしても、顔がにやけそうになる。
〝嬉しい〟って勝手に思ってしまう。
三鷹くんが私に興味なんてあるわけがないのは十分承知なんだ。
…だからこれは、私の勝手な感情で。
私が三鷹くんの所に行きたいっていう、自分勝手な行動で。
『いや田中さん寒いでしょ。いいよ気遣わなくても』
「ううんっ、いいの!じゃすぐ行くから!」
ちょっと田中さん、という三鷹くんの言葉を遮るように私は電話を切った。
そして三鷹くんが待ってくれていることを信じて急いで準備をする。