最低王子と恋の渦
ブランケットを引っ掴んで私は一階へ下りた。
トタトタと廊下を急いでいると、ふとリビングに明かりがついているのが目に入る。
…誰か起きてる?
そう思った私はガチャっとリビングのドアを開けて中を覗いた。
「あ、姉ちゃんまだ起きてたんだ」
「なんだ優太か」
リビングのテーブルで勉強していた様子の優太は私を見上げて言った。
…ん?
ていうかなんかすごい良い匂いがする。
「…そうそう、さっき姉ちゃんの作った残りのスープ温めたばっかだよ。姉ちゃんも飲んだら?」
「あ、スープか…」
そういえば今日はお母さんの手伝いでミネストローネ作ったんだった。
帰り遅かったから結構お母さんがやってくれたけど。
……あ!
「ナイス優太!」
「…どういたしまして」
私は急いでキッチンへと向かい、スープ用の器にまだ温かいスープをよそった。
三鷹くんに食べさせよっと。
割と外寒いだろうし、せめてもの誕生日祝いを…。
私はポカポカなミネストローネを持ったまま、三鷹くんの待つ外へ急いだ。