最低王子と恋の渦





ガチャッ。




慌てて玄関を飛び出すと、目の前に三鷹くんがいた。


三鷹くんはさっきの電柱の場所から家の前まで移動してくれていたようで。






…よ、良かった…いてくれた。










「…下りてきてもらうとかそんなつもりなかったのに」



「あはは、ごめんごめんっ。あ、これミネストローネなんだけど…三鷹くん食べれる?」



「…え?」










私がスープを差し出すと、三鷹くんはきょとんとした。


そして私とスープをゆっくり見て、そっとスープの器を手に取る。









「…ありがとう、食べれるよ」



「良かったー」



「なんか…田中さんがこんなことしてくれるなんて思ってなかったからビックリした」



「ちょっと失礼ですよね」



「…本当にありがとう」










湯気がホクホクと立っているスープを見つめながら、三鷹くんは優しく微笑んだ。




…な、なんかやっぱ嬉しい。


下りてきてほんと良かったかも。










「あ、それ私が半分作ったんだよ」



「…そうなの?」



「まあせめてもの誕生日プレゼントってことで」



「…髪の毛とか、」



「入れてませんよ!失礼な!」




「嘘々、ありがとう。…嬉しいよ」










そう三鷹くんは言って、私に優しく微笑みかけてくれた。





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