最低王子と恋の渦
…なんか、今日の三鷹くんすごく優しいような。
笑顔がいつもより柔らかい気がする。
…まあ誕生日だもんね。
でも新鮮というか、
こんな三鷹くんと今二人きりなことがすごく嬉しい。
…私ってこんなずるかったっけ。
「…美味しい」
「お、やった!」
「すごく温まるね。田中さんも飲む?」
「…えっ、あ、私は太るし遠慮しとく!うん!」
「へぇ、今更だね」
「今更ってなんですかなんかムカつく」
「冗談だってば」
そう笑っては、三鷹くんは白い息を吐きながらスープを飲む。
三鷹くんのお気に召して良かったよ。
…それにしても、ほんとに三鷹くんってかっこいいなぁ。
あんまり改めて見たりしなかったけど、芸能人みたいな顔してるんだよね。
そんな彼の耳は寒さで赤くなっていて。
スープの器を持つ手も指先が赤かった。
…やっぱ寒いよね。
「ごちそうさま」
「あ、うんっ」
三鷹くんはスープを飲み干し、私に器を差し出した。
わぁ…全部飲んでくれた。
嬉しい…。
「こんな誕生日初めて」
「…まあ寒空の下でミネストローネ食べるなんてなかなかないよね」
「いい意味だよ」
そう微笑む彼を見て、私は首を傾げた。