最低王子と恋の渦






そうして家に上がらせてもらった後、優太くんに促されるがまま俺は二階に上がって田中さんの部屋にお邪魔した。




…案外綺麗にしてるんだね。




なんてしょうもないことを考えつつ、俺はゆっくり田中さんをベッドに寝かせる。

そして薄いピンクの花柄の掛け布団を田中さんに掛けた。











「……」












小さく寝息を立てて眠る田中さんの顔をじっと見つめる。



そして田中さんの顔にかかった髪の毛を横へサラリと流した。


















「…俺は嬉しいよ」














そう呟くように言った後、俺は立ち上がって部屋のドアへと向かった。


ドアを開けたままそこに立っていた優太くんの肩をポンと叩き、「あとはお願いね」と言い残して俺は田中さんの部屋を出る。









「…三鷹さん…」




「何?」




「…姉ちゃん助けてくれて…ありがとうございました」




「どういたしまして。それじゃあお邪魔しました」









そして俺は田中家を後にして、まだ静かで暗い夜道に出た。







…田中さんって、佐々木のことまだ好きなのかな。


なんて、俺が気にしたところで田中さんがどうかなることもないんだけど。




……田中さんはあとどれくらいかかるかな。







< 167 / 347 >

この作品をシェア

pagetop