最低王子と恋の渦
「み、三鷹くんっ」
「ああ田中さん。おはよう」
「…おはよう」
「冬休みの課題は終わってる?」
「そ、それはもちろん!…ていうかあの、初詣の日は…本当にありがとうございましたっ」
「散々LI○Eでお礼言ってたじゃん。意外と律儀なんだね」
「…だって、すごい夜中ってのもあったし…ほんとにありがたくて」
「うん。田中さんの感謝の気持ちは十分に伝わった。カフェオレ奢ってくれたら嬉しいかも」
「……えっ」
私は三鷹くんのまさかの発言にぎょっとする。
三鷹くんがそういうことを要求してきたこと自体じゃなくて、その要求の意図に驚いたのである。
三鷹くんはきっと、この後私があの日のお礼をさせて欲しいって言う事を察知してあんなことを言ったんだ。
〝カフェオレ奢ってくれたら嬉しいかも〟
普段絶対三鷹くんが口にしないであろう言葉。
今ならそれが分かる。
これは彼なりの優しさだ。
「か、カフェオレね!分かった!じゃああの日のお礼ってことで…」
「いちいち言わなくてもそのつもりだよ」
「あはは…」
なんだろう。
すごく、三鷹くんの優しさが目立って見えるというか…より温かく感じるというか。
なんか、変に意識してしまってる気がする。
「…あ、そういえば私が寝た後、優太が対応してくれたんだよね?」
「うん」
「あの子私が電話した時お風呂入ってたらしくてさ…タイミングが悪かったわ…」
「へぇ」
「……」
「……」
「……」
「……それだけ?」
「え?」
「いやなんでもない」
「ん?な、何が?」
「何も優太くんから聞いてないならいい」
「はいっ?何が?優太になんか言ったの?」
「別に。あとはお願いねって言っただけ」
「…?」
……何?
三鷹くんなんかしたの…?
帰ったら優太に聞いてみよ。