最低王子と恋の渦
私がそんなことで一人落ち込んでいると、三鷹くんは片肘をついてぼんやり呟いた。
「それにしても、田中さんの誕生日なのに「その日俺にちょうだい」っておかしいよね」
…友也のこと?
まあ…確かにね。
「友也も馬鹿だからなー」
「田中さんに言われる川平に同情する」
「……」
駄目だ。
こんな調子じゃ三鷹くんと仲良くなんてなれない気がする。
…そもそもこんなに貶されまくってるのに、なんで私三鷹くんのこと好きなんだろ。
私Мなの…?
なんて答えの出ない自問に頭を悩ませていると、また隣の彼が口を開く。
「幼馴染って、どんな感じ?」
「…え?」
「俺には兄弟も幼馴染もいないからね」
あ、そうなのか。
…こういう時に幼馴染がライバルだったりしたら激しく勝目なかったけど、良かった。
「…家族かなぁ」
「へぇ」
「小さい頃からずっと一緒だし…ほんと、兄弟みたいな…」
「…ふーん」
「まあ友也は私と違う考え方だったみたいだけどさ…」
「そうみたいだね」
三鷹くんは私の言葉を聞いて、ボーッとこちらを見つめた。
もし、三鷹くんに女の子の幼馴染がいたら、
…その子のこと好きになったりしてたのかな。
それとも私みたいに、家族だと思ってたのかな。
まあそんなこと考えたところで意味もないんだけど。