最低王子と恋の渦
――「…わぁ、懐かしい…」
友也に連れて来られた場所はガヤガヤと賑わっている遊園地。
幼い頃から親達によく連れて来てもらった、思い出の場所である。
園内には親子連れやカップル、学生達もいてとても楽しそうな雰囲気が溢れていた。
「懐かしいよなー!未だに人気みたいでなんか安心したわ」
「…うんっ」
最後に来たのは確か中学に上がったばかりの頃だったような。
本当にこの遊園地にはよく来てたなぁ。
そして友也は私のも合わせてチケットを買ってくれて、二人で園内へと入った。
奢ってもらうのは抵抗があったけど、友也は私の為にもバイトでお金を貯めてくれてたわけだし、ここはありがたく気持ちを受け取ることにしたのだ。
「や、やばい…」
「ん?美乃どうした?」
「なんか遊園地久々過ぎて…テンション上がってきた…!」
「…ブッ」
目を光らせてアトラクションを見渡す私を、友也はなぜか笑ってきた。
「な、なんで笑うのっ」
「…いやっ、なんか…可愛くてっ…」
は、はい!?
思わず顔を赤くしてしまった私を、友也は「ハー」と笑い疲れたように見上げる。
そしてニッコリと屈託のない笑顔を見せてくれた。
…なんかよく分かんないけど、友也が楽しそうならいいや。