最低王子と恋の渦
そして私達はジェットコースターを満足するまで乗り回り、他の絶叫系も網羅していった。
「あ、美乃ソフトクリームあるぞ」
友也の指差す方を見ると、可愛らしい外装をした小さなお店があった。
そして『ソフトクリーム』と書かれたポスターが壁に張り付いてある。
…そういえば。
小学生一年生の頃、お母さんにお金を貰ってウキウキと一人でソフトクリームを買いに行って…そしたら……落としちゃって。
〝よしの、おれのあげる!〟
…それで、友也が自分のソフトクリームを私にくれたんだっけ。
私は泣きながら友也にお礼を言って…、でも友也の分がなくなるからってそのソフトクリームを半分こにして…。
思えば、私ってほんとにずっと友也に甘えてきてたんだな…。
「美乃?ソフトクリームいらないのか?」
友也が私の顔を覗き込んできて、私はハッと我に返った。
「た、食べる食べる!味はもちろんバニラだよね」
「チョコも美味しいぞ~」
アハハと笑う友也の横顔を見つめて、私は思わず微笑んだ。
…やっぱり友也にはずっとそうやって笑ってて欲しい。
私ってずるいなぁ。