最低王子と恋の渦
そして次に目に止まったのは、
「うわ!あのお化け屋敷懐かしー」
おどろおどろしい雰囲気を放つお化け屋敷だった。
私はそれに顔を向けて足を止める。
あれもよく友也と行ったもんだ。
友也も私も怖がっててお母さんにしがみついてたけど。
「あー懐かしいなー。美乃は怖いの無理だったもんな」
「え!?無理ではないよ!お化け屋敷は怖いけど!ていうか友也も怖がってたじゃん」
「俺は小5くらいには克服してたって!美乃は最後までビビってただろ?」
「い、今はさすがに大丈夫だもん!」
「お、じゃあ行ってみるかっ」
気付けばお化け屋敷に行く流れになっているではないか。
まあ割と行ってみたい気持ちもないこともなかったけど。
そうして私達はお化け屋敷の方へ向かった。
〝怖い夢見ないようにね〟
ふと、
なぜか不意に、あのホラー映画を三鷹くんと観に行った日を思い出した。
私が怖くないように家まで送ってくれた三鷹くん。
すごく嬉しかったのを覚えてる。
…って、今思い出に浸るな自分。