最低王子と恋の渦



手術室は更に不気味な雰囲気を放っていて、壁の至る所に血がこびりついている。


台の上には布を被った何かが寝そべっていたり。


至れり尽くせりだな。

いらない気遣いですけどね。




そしてたまにお化け役の人が奇声を上げながらこちらに向かって走って来たりする。





「ぎゃあああ!友也あああ!」



「あははははっ」




私がそれに死ぬほど驚いていると、なぜか友也は楽しそうにケタケタと笑う。


こっちがこんな必死だっていうのに呑気な奴め…。






そんな風に騒ぎながら進んで行くと、ようやくお化け屋敷のゴールへたどり着いた。


ほんの数分間だったのに、何時間もいたような気がする…。





「あー面白かったー!」



「…ムチャクチャ疲れたんですけど…」



「ブッ、美乃声ガラガラじゃんっ」





そしてまた友也はヒーヒー言いながら笑い出した。



…いや笑い過ぎでしょ!?


三鷹くんに留まらず友也まで人を馬鹿にしやがって!




< 204 / 347 >

この作品をシェア

pagetop