最低王子と恋の渦
ゴンドラがゆっくりと高さを増していく中、私は外の景色をじっくり眺めていた。
チラホラと園内の人が帰っていく姿や、下を覗くとカップルが新たにゴンドラに乗り込もうとしている姿も見える。
と、私はゴンドラ内の壁に何か薄く文字が書いてあるのに気が付いた。
「あ、友也友也。ここにカップルの名前と日付が書いてある」
きっとこの日付の日にここでカップルが成立したのだろう。
…三鷹くんなら「もしこれで別れたとして、そういう時悲しくならないのかな」なんてひねくれた発言が出るんだと思う。
……って、さっきから私、友也といるのにちょいちょい三鷹くんのこと考えちゃってる…。
「…美乃」
と、友也の落ち着いた声が聞こえ、私は振り返った。
その友也の顔はとても穏やかで、いつもの優しい友也に違いなかった。
「…俺、美乃が好きだ。
美乃も俺のこと好きなら、付き合いたい」
そう微笑んで友也は言った。
正真正銘、友也からの告白。
…決心はもう出来てる。
「……ごめん友也。私…三鷹くんが好きなの」
ここで泣くのは私じゃない。