最低王子と恋の渦
……ハッ!
待って。
これ少女漫画で言ったらあのベタなイチャイチャシーンじゃん…!
は、恥ずかし…!
「…珠妃ちゃんたこ焼き冷めちゃうよ」
と、こちらがやっと気付いたにも関わらず、優太はもういつも通りに戻っていた。
…顔を逸らされたのは、珠妃にそれされて嫌だったからかな…?
ふとそんな疑問が浮かび、ブンブンと首を振った。
「……ねぇ珠妃ちゃん」
ごちそうさまをした優太は巻いていたマフラーで口元を隠しながらそう切り出した。
「うん?」
「珠妃ちゃんは…好きな人いる?」
……へ?
情けない顔でポカンとしてしまう。
い、今なんて…?
「す、好きな人…?」
「うん」
まさか優太からそんなこと聞かれる日が来るなんて。
優太はそういう恋愛ごとに無関心だと思ってたし…。