最低王子と恋の渦
「頑張れって?」
「…あの日、俺澤村さんと一緒にいたんだ」
……はい?
なんの話?
「田中さんの誕生日の夜、澤村さんと電話したでしょ?あの時俺澤村さんと一緒にコンビニの近くにいたんだ」
「えっ」
私はハッとしてあの日の菜々との会話を思い出す。
〝何よもしかして三鷹くん期待してた?〟
〝川平くんとどうなったのかなって〟
〝お互い納得出来た感じ?〟
〝んーなら良かった。じゃあ美乃頑張りなよ〟
きっと私の声は三鷹くんに届いてないから、菜々の言葉から色々察するはずだけど…。
「たまたまコンビニ行ったら澤村さんがいて、いいつってんのに田中さんに電話し出したんだ」
「…なるほど」
「澤村さんに詳しくは聞いてなかったんだけど、なんとなく…田中さんと川平上手くいったのかなって思って。意外だったけど」
…まあ確かにそういう解釈出来るよね…。
もしかして菜々はそれ狙ってた…?
「それで今日田中さんに聞こうと思ってたんだけど、田中さんがデート楽しかったって言ってるの聞こえたし、川平がああだから…ほぼ確信してた」
…そうだったんだ。
確かに友也のあれはビックリするよね。
「…全然関係ないかもしれないけど、今日三鷹くん珍しく遅かったね…」
「全く関係ないね。ただ職員室に用があっただけだよ」
そうでしたか…。