最低王子と恋の渦
「でも、断ったんだね」
「…うん」
なんか、こんな余裕なさそうな三鷹くん見るの新鮮だな。
余裕がなさそうっていうか、笑顔が少ないっていうか。
「…ねぇ田中さん」
その声と共に、また私たちは目を合わせる。
「今日俺の家来れる?」
………唐突過ぎる。
あまりにも唐突過ぎるよ三鷹くん。
「は、話が強引に変わりましたね」
「ごめんね」
「…いや、別にいいんだけど…」
慣れてるしね。
「なんでまた突然…」
「来て欲しいから」
「……」
心臓がバクバクと暴れていたのに今更気付く。
…三鷹くんのことが好きだと自覚した今、三鷹くんの家に行くのはなんとなく後ろめたい気がしなくもない。
下心ありまくりじゃんそんなの。
まあ私が誘われたんだけどさ。
いや誘われたって言い方もどうかと。
なんて一人で悶々と考え込んでいると、また三鷹くんが話し出す。
「今日は田中さんだけで」
……なんとなくそうかなとは思ってたけど、わざわざ言われるとすごくドキッとした。
もう行かないわけがないのです。