最低王子と恋の渦





――放課後。


私は本当にそのまま三鷹くんの家に来てしまった。



数日前に来た以来だ。

三鷹くんの家に来るのは2回目だけど、まだ慣れないなぁ…。




鍵を開けて私を家へ入れてくれた三鷹くん。

そのままリビングに入ると、私をソファに座るよう促した。






「田中さんコーヒー飲める?」



「あ、うん。あんまり苦いのは無理だけど…」



「了解」



「あっ、お構いなく!」





そう慌てて言った私を見てフッと微笑んだ三鷹くんは奥のキッチンの方へ行ってしまった。


こういうところがさすがだなとは思う。





「……」






しかし、落ち着かない。



前は菜々や友也がいたからそこまでだったけど、私は今この広い三鷹くんの家で三鷹くんと二人っきりなんだ。


…ドキドキしないわけがない。






「はい」





そわそわとリビングを見渡していると、三鷹くんがコーヒーを持って来てくれた。

私は「ありがとう」と言いながらコーヒーを頂く。






「…お、美味しい」



「なら良かった。ミルク多めにしたんだ」



「あ、ありがとうっ」






…な、なんか。

私が意識し過ぎなだけなのかもしれないけど、



三鷹くんがすごく柔らかく見える。



もしかしてこれが恋愛フィルターと言うものなのか。


一つ一つの三鷹くんの優しさがすごく嬉しい。

その優しさが表に出て、三鷹くん自身が柔らかくなったように思えるのだ。



…まあ実際は毒舌王子なんだけど。



< 225 / 347 >

この作品をシェア

pagetop