最低王子と恋の渦





「ちょっと待ってて」






なかなかソファに座らないなと思っていると、三鷹くんはそんなことを言い出してリビングを出ていってしまった。


私はポツンと一人、広いリビングに取り残される。






「…?」






なんだろ。

トイレかな。



適当にそう考えて、私は少しずつコーヒーを飲んだ。


…飲みやすいように温度が調整されてる。

これも三鷹くんの優しさなのかな…。


いや、考えすぎか?






「……」








…それにしても、なんで三鷹くんは私を家に招いてくれたんだろ。


しかも私だけって…。



前回はアルバムのことかなとは思ってるけど、果たしてそれが本当なのかも分からない。



私はどうやら勘違いが多いらしいし。





…そもそも、私は具体的にどう頑張ればいいんだろ。


会ったことも名前も知らないその三鷹くんの好きな人に、私はどう太刀打ち出来る…?




こんなことならアルバム見せてもらった時にあの写真の女の子の名前確認しとけば良かった…。

まあ名前知ったところで何か変わるってわけでもないけどさ。




…やっぱり、あの写真の女の子が三鷹くんの好きな人なのかな…。




もしかして同じ高校だったりしたりして。


…いやでも見たことないし、多分他校だな…。




今でも三鷹くん…その子と会ったりしてるのかな。






ふと気付けば、カップのコーヒーはほとんどなくなっていた。




…どう考えても不毛なんだよなぁ。



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