最低王子と恋の渦
「良かった…」
そう微笑んだまま自分のコップを見下ろす藤本さん。
まずいまずいまずい。
この状況は非常にまずい気がする。
なんでこんなタイミングで出会ってしまったのか。
…いや、むしろ相手を知る良いチャンス…?
待て待て、知れば知るほど戦意喪失していく気がする。
「…み、三鷹くんとはどういう関係で…?」
上目遣いでそう尋ねてきた藤本さん。
…なんでこんなこと聞いてくるんだろう。
深読みする暇もなく、私はアハハと笑いながら答えた。
「と、友達ですよ」
「そうなんですか…!」
明らかにホッとしたような表情をする彼女。
……なんだろう、この胸騒ぎ。
すごく嫌な予感が止まらない。
「えっと…藤本さんは、三鷹くんと友達だったんですか…?」
中学の同級生。
卒アルの写真。
三鷹くんの好きな人。
それらを全て繋げることはとても簡単で。
私はずっと繋げないようにしてた。
「…えっと…、三鷹くんと…以前付き合ってました…」