最低王子と恋の渦



以前の私なら、今の話を聞いてもこんなこと思わなかった。

むしろ三鷹くん最低だな悪魔かよって言ってたはず。



でも、今は三鷹くんの優しさを知ってるから。

あの三鷹くんが、好きでもない人と付き合うわけがないんだ。






〝そもそも俺は自分の好きになった人と両想いになってから付き合いたい派だからね。純粋だろ〟






そう、彼は自称純粋なのだ。





「三鷹くんがどういう風に思ってたのか具体的には分からないですが、きっとそれは全部藤本さんを想ってのことだと思うんです」




毒舌マスターだけど、三鷹くんは優しいんだ。

傷つけようと思ってそんなことを言ったわけじゃないと思う。





「三鷹くんなりの優しさがあったように、私は思います…」




私の言葉を聞いて、藤本さんはじわぁっと目に涙を溜めた。


ライバルであろう彼女に私はなんでこんなことを言っているのか…。

きっと三鷹くんならこんな私を容赦なく〝馬鹿〟だと貶すんだろう。


…でも、三鷹くんの優しいというところを元カノである彼女に知ってもらいたかった。


なぜかは分からないけど。




「…ありがとうございます…」




涙を流しながら笑顔を見せる藤本さん。


こんな可愛い子、三鷹くんが惚れるのも納得だ。




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