最低王子と恋の渦
「じゃあ今日、もしかしたら三鷹くんは元鞘に収まっちゃうのかもね…」
「…西垣さんの時と同じ感じだな」
「西垣さんは断られたじゃん。美乃だって三鷹くんへの気持ちを自覚してなかったし」
…そっか。
あの時はまだ三鷹くんのこと好きだなんて考えてもなくて。
私は…いつから三鷹くんのこと好きになってたんだろう。
「田中さーーん!」
と、
教室の扉が開かれると共に聞こえた元気な呼び声。
ビックリしてそこに目を向けると、なぜか笑顔の和久井くんが立っていた。
その隣には明らかに迷惑そうな顔をする三鷹くんがいる。
なんだこの組み合わせ。
「田中さん!今日皆でカラオケ行く予定なんだけどさ!田中さん達も来ない?」
「…えっ?」
私の机に手をついて身を乗り出すように言ってきた和久井くん。
その近過ぎる和久井くんに若干距離を取りながら、私は首を傾げた。
…か、カラオケ?
これまた突然だな…。
「俺の友達数人で!あ、もちろん女子も来るよ!」
「へ、へぇ」
「三鷹も誘ったんだけどさ~、こいつ予定あるから無理って断ったんだよ~」
和久井くんの言葉を聞いて、私はチラリと自分の席に座った三鷹くんを見た。
…予定…。
じゃあやっぱり三鷹くんは藤本さんに会うんだ…。
元々カラオケなんて断りそうだけど、藤本さんの方を優先するんだね…。
当然だよねー…。