最低王子と恋の渦




「んーと、藤本さんは皆に優しくて大人しくて良い子だったんだけど、静かな感じだったから密かに人気って感じでー。

そんで王子も王子だから二人が付き合い出したのはほとんど皆知らなかったの。…それであたし、二人が付き合ってるの知らなくて告白しちゃって。

だから多分、一部しか王子が付き合ってたこと知らないんじゃないかな?」




そう身振り手振りで話す彼女。

私はコクコクと頷きながら話を聞く。


…なるほど、確かに三鷹くんから付き合ってるとは公表しなさそうだもんな。




「でもねー、すっごくお似合いだったよ。美男美女だしね?二人とも落ち着いてて、なんか入る隙間ないって感じだった」



「…だよね」




そりゃそうだ。

誰が見てもやっぱりお似合いなんだな…。





「でも中三の冬に別れたんだよねー…。なんで別れちゃったんだろ?」

「高校離れるからとか?」

「あー、それかな?」





三人が別れた理由について議論している間、私は俯いて考え込んだ。


付き合ってる時もほんとに順調だった様子。

じゃあ…誤解が解けた今、藤本さんがよりを戻そうと声を掛けたら…。


本当に、戻っちゃう…。





「…あ、ごめん、ちょっとトイレ」



「いってらっしゃーい」




私はそう言い残してそそくさと部屋を出た。


…仕方ないよね。



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