最低王子と恋の渦
――そろそろ夏休みも迫ってきた頃。
夏休み前の期末テストの準備が始まり出した。
そんなある日の昼休み、俺は購買でパンを購入して教室に戻るところだった。
片手に焼きそばパンと小さめのメロンパンを持ち、少し欠伸をしつつ廊下を歩く。
と、
「……あ」
向こうからこちらに一人で歩いて来る田中さんが目に止まった。
俺と目が合うと、田中さんは少し気恥ずかしそうに頭を下げてくる。
食堂にでも行くのだろうか。
「あれ、澤村さんは?」
「…あ、ああ菜々なら教室で待ってもらってる」
「ふーん。パン買いに行くなら早く行った方がいいよ。残り少なかったし」
「……えっと、別にパン買いに行くわけでは…」
「…へぇ。じゃあどこ行くの?」
ふと、
田中さんの顔がじんわり赤いのに気付く。
そして心なしかそわそわしているような。
…なんとなく察することは出来た。
「…………体育館裏」
ベタだな。
そしてその発言で俺の予想は確信に変わる。
「告白か」
「…ま、まあ…」