最低王子と恋の渦
田中さんの好きな人が5組の佐々木なのは知っている。
本人も俺に隠す気はないのか、ただ俺のことがどうでも良かったのか、隣の席で普通に澤村さんと佐々木のことを話していた。
「……っ」
緊張した面持ちでそわそわと視線を泳がす田中さん。
…他人の恋愛事情ほどどうでもいいことはなかった。
だから、いつもならここで「まあ頑張って」と愛想笑いを加えてすぐ立ち去っていたはず。
「…田中さん的に、成就する確率はどれくらい?」
…俺らしくない。
「か、確率…?うーん…………10%かな」
「10%って低過ぎでしょ」
「だって…!佐々木くんきっと私のこと興味ないだろうし…」
いくらなんでも謙遜し過ぎな気がするけど。