最低王子と恋の渦
昼休みも半分が終わり、俺は食べ終わったパンの袋を教室のゴミ箱に捨てる。
そして席に戻ると、田中さんの席に座っていた澤村さんが携帯から顔を上げて俺を見た。
「美乃遅いね」
「…俺には関係ないと思うけど」
「まあそうだね」
澤村さんも澤村さんで少しそわそわしている様子。
まだ澤村さんはお弁当を開いていない。
きっと田中さんが戻って来るまで待っているのだろう。
と、
「あ、美乃」
澤村さんがパッと顔を上げて俺の後ろに視線を向ける。
くるりと後ろのドアを振り返ると、そこには目を赤く腫らした田中さんが立っていた。
「…砕けましたか」
「…砕けました…」
アハハと無理に笑って田中さんは自分の席に座り、澤村さんは前の席に移動した。
俺はその二人から顔を逸らし、片肘をつく。
「なんて言われた?」
「…なんか、普通に。ごめんって…」
「ふーん、まあお疲れ様、美乃」
「ありがと…」
…俺らしくない。
そして、認めるのに少し時間が掛かった。
田中さんが佐々木に振られたことを知って、
ホッとしてしまった。
「…10%だもんね」
「……う、うるさいな三鷹くん」
つまりそれは、
そういうことなんだと思う。