最低王子と恋の渦
――「あ!田中さん!」
噂の元凶であろう和久井くんのいる5組の教室へ早速向かった私と西垣さん。
チラリと教室内を見てみると、その生徒のほとんどが私に視線を向けていた。
…なんだこれ、怖過ぎる。
「…あれ!?な、なんで西垣さんまで!?」
私の斜め後ろで天使モード発動中の西垣さんを見つけた和久井くんはテンション高めで頬を赤らめた。
さすが西垣さん、大人しいけどめちゃくちゃ可愛い(っていうキャラだ)から色んな男子から憧れられてるんだな。
西垣さんは小さく微笑んで頭を下げている。
それに和久井くんもメロメロだろう。
いや今はそんなことはどうでもいい!
「ちょっと和久井くん!私と三鷹くんが付き合ってるって何!?」
「…えっ?付き合ってるんじゃないの?」
「そんなわけないでしょ!?」
思わず大きな声で言ってしまって私はハッと口を抑える。
…そんなわけないでしょは言い過ぎたかな。
「えぇ!?そうなの!?」
「う、うんっ」
「えぇー!…だって田中さんが帰った後に皆で付き合ってたんだっていう結論が出たし…」
はい!?
止めてよ菜々と友也!!
「あと兄貴が田中さんと三鷹は両想いだって言ってたし…」
「…は!?それこそないよ!」
「えぇ~?」
私が鼻息を荒くしてそう主張すると、和久井くんは「面白くな~い」とでも言うように眉を下げた。