最低王子と恋の渦






「…何よ、あんた三鷹くんとカラオケ行ったの?」




人が近くにいないことを確認しながら、西垣さんはスタスタ歩く。

私はその隣を急ぐ。




「…いや、三鷹くんは一瞬だけ来たっていうか…」



「まあなんでもいいけど」




ツンと言い放つ西垣さんは、なんだか落ち着いているようにも見えた。


…さっき、助けてくれたのかな…。





「言っとくけど、あんたが三鷹くんと付き合ったとしても比奈子諦めないから」



「え…?」



「あんたも三鷹くんと付き合えたからって安心なんかしてんじゃないわよ」



「…え、ちょっと西垣さん…?」



「フン、今に見てなさいこのドブ女!」





そう一方的に言い倒した西垣さんは私を残して2組の教室へスタスタ行ってしまった。


ま、またドブ女て…。


ていうか…まだ付き合ってもないのになんであんなこと…?



私は結局分からないまま、自分の教室に入った。



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