最低王子と恋の渦
「…三鷹くん…?」
「……」
私が三鷹くんを見上げながら呼ぶと、彼はハァと溜息を漏らしながら自分の席に座った。
「…今日、朝から合わせて10人以上の女子に呼び出されてた…」
「え、10人以上!?」
思わず大きな声で驚いてしまい、私は慌てて口を手で覆う。
三鷹くんは表情は変えず、至って落ち着いて続けた。
「ほとんどが『本当に田中さんと付き合ってるのか』の類いで、中には『田中さんと付き合うなら私と付き合って』って告白してきた人も結構いた」
「う…えぇ…?」
な、なにそれ…。
モテるって大変なんだな…。
いや、ていうか私どんだけ周りに舐められてるんだ。
と、友也が三鷹くんに身を乗り出した。
「それでなんで三鷹はそんなに疲れてるんだ?」
「なんでって…そりゃあ疲れるでしょ。
何人もの女子を一気に断ったんだから」
「…三鷹って意外と告白とかちゃんとありがたがってるんだな!」
「は?川平の分際で俺の事舐めてるの?当然告白してくれるのは嬉しいよ」
「意外だな!」
「…川平ってそれ分かって言ってる?」
何がだ?と首を傾げる友也を更に睨んでいる三鷹くんを私はじっと見つめた。
…告白……嬉しいんだ。
……やっぱり優しいなこのイケメン。
ときめいてしまった。